蕁麻疹(じんましん)とは

かゆみを伴った発赤が、体のあちこちに出現します。平坦だったり、盛り上がったもの(膨疹)は「みみず腫れ」のように見えることもあります。1つ1つの発赤は、24時間以内にいったん消えてしまうことが特徴です。また、重症の場合は、のどの粘膜が腫れ、呼吸困難になる場合もあります。

蕁麻疹(じんましん)の種類

急性蕁麻疹
毎日のように繰り返し症状が現れる蕁麻疹のうち、発症して1ヶ月以内のもの。細菌、ウイルス感染などが原因となっていることが多いと考えられています。

慢性蕁麻疹
毎日のように繰り返し症状が現れる蕁麻疹のうち、発症して1ヶ月以上経過したもの。原因が特定できないことが多いです。

物理性蕁麻疹(物理性じんま疹)
機械的な摩擦や圧迫、寒冷、温熱、日光、振動などといった物理的刺激により起こります。

コリン性蕁麻疹(コリン性じんま疹)
入浴や運動などで汗をかくと現れる蕁麻疹。一つ一つの膨疹の大きさが1~4mm程度と小さく、小児から若い成人に多くみられます。

アレルギー性蕁麻疹(アレルギー性じんま疹)
食べ物や薬剤、昆虫などに含まれる特定物質(アレルゲン)に反応して起こるもののことをいいます。

食物依存性運動誘発性アナフィラキシーにおける蕁麻疹
原因食物摂取後に、多くは2時間以内に運動付加があった場合や、非ステロイド抗炎症薬内服中の食物摂取によって誘発されます。

イントレランス
アスピリンなどの非ステロイド系消炎鎮痛薬、色素、造影剤、食品中のサリチル酸などにより起こるもののことをいいます。

血管性浮腫
唇やまぶたなどが突然腫れあがり、2~3日して消えます。痒みを伴いません。まれに遺伝性のものである場合があります。

蕁麻疹(じんましん)の起こる原因

食べ物による原因

えび・蟹などの甲殻類、青魚などの魚介類、牛乳・チーズなどの乳製品、穀類、卵、食品添加物、豚肉などの肉類ほ摂取は発症のきっかけになりやすい食物です。乳製品や肉・魚・卵などに含まれる動物性のタンパク質や、油などはすぐにカラダの外に排出されにくいものなので、普段食べているときはなんともなくても、その日の体調が優れなかったり、疲れていたりするとアレルギーとして反応することもあります。

精神的な原因

人のカラダは本来、カラダに毒素が溜まったとき発汗や排泄でカラダの外に出そうとする機能が備わっているのですが、その機能がうまく働かない時に皮膚疾患として症状があらわれやすくなります。ストレスもカラダの毒素のひとつと捉えられます。現代のストレスフルな社会に起こりやすい症状の一つかもしれません。

その他の要因

動物・金属などの接触・薬の副作用・寒暖差・光や汗などが発症の引き金になることがあります。

蕁麻疹(じんましん)の検査について

食物、薬品、植物、動物、昆虫の毒素、真菌などに曝露されることにより起こる蕁麻疹であれば、採血により特定の抗原物質に対する特異的IgEを測定して原因を追究することができる場合もあります。しかし、このような蕁麻疹は受診される方の数パーセントとわずかです。原因がわからずに、長期間継続している特発性蕁麻疹の場合は、血液検査などでは原因を特定することは難しいです。甲状腺疾患や膠原病が疑われる蕁麻疹の場合は、血液検査をおこない原因を調べます。

蕁麻疹(じんましん)の治療方法

特定な刺激や負荷により誘発されていると考えられたときには、その誘発因子を特定し、回避することが最も大切です。しかし、そのようなケースは多くはありません。

蕁麻疹の最初の治療目標は、抗アレルギー剤の内服により皮疹の出現を完全に抑えることです。抗アレルギー剤の効果には個人差(相性)があり、治療効果が現れるのに3~4日かかることがあります。
クリニックでは抗アレルギー剤1~2週間継続して内服していただき、通常用量で効果が不十分であった場合は、内服量を増加したり、薬剤を変更したりして、その人にもっとも合った治療法を検討します。
抗アレルギー剤の内服のみで不十分な場合は、補助的治療薬としてヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2ブロッカー)や漢方薬を使用することがあります。

また、ストレスや疲労が憎悪因子となりうるため、ストレスのコントロールや過労を避けるなどの対処が必要であることが多くみられます。

蕁麻疹(じんましん)を起こさない生活習慣
  1. ストレスや疲れをためこまない
    ほ精神が不調になればカラダにも不調が現れてきます。
  2. 食事の改善
    じんましんの原因となりうる動物性のタンパク質や油、を避けるのはもちろん、チョコレートや辛いもの、アルコールなどの刺激物もじんましんを助長してしまう可能性があります。症状が出ている時は摂取を控えたほうが良いでしょう。
  3. 睡眠・生活習慣の改善
    不規則な生活や睡眠不足が与えるカラダへのダメージは、自分が思っている以上に大きいものです。睡眠は自律神経や免疫力にも多くの影響を与えていると考えられています。
    もし、じんましんが出たときには「何をしていた時に発症したのか」「どのような状況だったのか」を自分でよく考えてみましょう。
    漢方では、じんましんは、そのうち、「水(=血液以外の水分や体液を指すもので、飲食物中の水分を消化吸収によってカラダに必要な形にし、カラダをうるおしているもの)」と熱のバランスが崩れたとき、風邪(ふうじゃ)という邪気が皮膚から侵入することによって起こると考えられています。また、「水」が滞ると全身の組織や器官に栄養を与える「血」も滞り、本来あるべき栄養補給や排出の働きにも影響を与えるとされています。
    体の中に余分な水をためこまない、冷たいものをとりすぎない、血のめぐりをよくするため、適度は運動を普段から心掛けるということも大切ではないかと考えます。

うえだ皮膚科内科 高杉院

当院では、内科、漢方内科、皮膚科と複数の科を併設しており、各科固有の疾患に対する治療だけでなく、疾患によっては 科を超えて協力することによって、診断と治療の向上に寄与し、より幅の広い治療がきることを目標にしています。内科では、一般内科疾患全般を診療し、漢方治療を採り入れることによって、皮膚疾患や婦人科疾患、小児疾患など幅広い疾患に至るまで対応しています。皮膚科では、一般皮膚科分野に加え、小手術も行っています。