乾癬の症状

乾癬になると、皮膚が赤くなる「紅斑」、皮膚が盛り上がる「肥厚」、その表面を覆う銀白色の細かいかさぶたがつく「鱗屑(りんせつ)」、それがぼろぼろと剥がれ落ちる「落屑(らくせつ)」が起こります。乾癬の病変部では、皮膚の表面に角質が積み重なり、皮膚が厚くなっています。これは、皮膚のターンオーバーつまり新陳代謝が異常に活発になり、通常の約10倍の速さで皮膚が作られるためです。

現在、日本の乾癬患者さんは200人に一人から300人に一人と推計されています。欧米)に比べると発症率は少ないですが、近年の生活習慣の変化で、患者さんは少しずつ増えています。日本における男女比は2:1と、男性の方が多いとされています。

乾癬の原因

最近の研究から、乾癬の発症に免疫の異常が関与していることが明らかになってきました。
本来、免疫は、細菌やウイルスなどから身を守るためにからだに備わっている仕組みですが、免疫に異常が生じると、自分自身を攻撃し炎症などの症状を引き起こしてしまうことがあります。乾癬では、TNF-α、インターロイキン(IL)-23、IL-12、IL-17などの「サイトカイン」が過剰に作られることにより、皮膚症状や関節症状が引き起こされると考えられています。乾癬になりやすい遺伝的素因があることがわかっています。遺伝的素因に様々な環境因子(不規則な生活、食事、ストレス、肥満、感染症、薬剤)などが加わると発症することがいわれています。

注意すべき合併症

乾癬の患者さんは一般(乾癬以外の皮膚疾患患者さん)と比べて、糖尿病、脂質異常症、高血圧とメタボリックシンドロームに関連する疾患との合併率が高いことが報告されています。

乾癬の治療方法

乾癬治療法には、外用療法(塗り薬)、光線療法、内服療法(飲み薬)、注射療法の4種類があります。

外用療法

免疫の働きを抑えて炎症を抑える「ステロイド外用薬」、皮膚の細胞に働きかけて異常な増殖を抑える「ビタミンD3外用薬」が用いられます。

内服療法

中等症から重症の比較的症状が重い乾癬に用いられます。飲み薬には、角質細胞の異常な増殖を抑える薬、免疫の過剰な働きを抑える薬、炎症を抑える薬が用いられます。
炎症を引き起こす物質の産生にかかわっている PDE4(ホスホジエステラーゼ 4)の働きを抑え、炎症反応 を抑制し、皮膚、口腔粘膜の症状を改善する経口ホスホジエステラーゼ(PDE4)阻害薬などを処方します。

うえだ皮膚科内科 高杉院

当院では、内科、漢方内科、皮膚科と複数の科を併設しており、各科固有の疾患に対する治療だけでなく、疾患によっては 科を超えて協力することによって、診断と治療の向上に寄与し、より幅の広い治療がきることを目標にしています。内科では、一般内科疾患全般を診療し、漢方治療を採り入れることによって、皮膚疾患や婦人科疾患、小児疾患など幅広い疾患に至るまで対応しています。皮膚科では、一般皮膚科分野に加え、小手術も行っています。