脂質異常症とは

血液中に存在する脂質には、コレステロール、リン脂質、中性脂肪、遊離脂肪酸などがあります。脂質異常症は、どの脂質が多いか少ないかによって決まります。
コレステロールは主に2種類あります。LDLコレステロールは、必要以上に増加すると血管内に付着して、血管を詰まらせたりします。一方、HDLコレステロールは、血管にたまった余分なコレステロールを回収してくれます。
LDLコレステロールが高すぎず、HDLコレステロールが低すぎないようにバランスを保つことが重要です。
中性脂肪は、エネルギーとなるもので、食後に増えます。コレステロールと深い関わりがあり、血液中に中性脂肪が増えると、LDLコレステロールが増えHDLコレステロールが減ります。

脂質異常症は、自覚症状がない疾患です。
動脈硬化が進行し、血液の循環が妨げられ、血管が詰まってしまいます。心臓の血管が詰まってしまうと、狭心症や心筋梗塞など、脳の血管の場合、脳出血や脳梗塞など脳卒中を引き起こします。

診断基準(空腹時)
  1. LDLコレステロール
    140mg/dl以上:高LDLコレステロール血症
  2. 120~139mg/dl:境界域高LDLコレステロール血症
  3. HLDコレステロール
    40mg未満:低HDLコレステロール血症
  4. トリグリセライド(中性脂肪)
    150mg以上:高トリグリセライド血症
脂質異常症の治療方法

1. 生活習慣の改善

ほとんどの場合、脂質や糖質、アルコールの摂りすぎなど偏った食習慣や運動不足が原因と考えられています。
更年期を迎えた女性は、女性ホルモンが閉経後に減少し、コレステロールや中性脂肪が高くなる傾向があります。短期間に動脈硬化の危険性が高まりますので要注意です。

2. 薬物治療

生活習慣の改善を行ったにもかかわらず、コントロールが十分でない場合、薬物療法を行うことも重要な選択です。
脂質治療法の治療薬には以下のように様々なものがあり、それぞれ特徴があります。

  • 主にLDLを下げる
    スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害剤)…肝臓でのコレステロール合成を抑制
    陰イオン交換樹脂…腸内で胆汁酸と結合して便として排出
    小腸コレステロールトランスポーター阻害剤…小腸でコレステロール吸収を阻害
  • 主に中性脂肪を下げる
    フィブラート系…肝臓で中性脂肪の合成を抑制
    ニコチン酸誘導体…胆汁酸の排出促進、末梢脂肪組織から脂肪酸の動員抑制
    EPA・DHA…肝臓での中性脂肪の合成抑制
LDLコレステロールの目標値

狭心症、心筋梗塞、脳梗塞の既往や高血圧、糖尿病など、危険因子の有無によって目標値は異なります。危険因子がある人は、動脈硬化が進みやすく、目標値はより低く定められています。

動脈硬化の危険因子

  • 心筋梗塞または狭心症になったことがある
  • 脳血管障害になったことがある
  • 慢性腎臓病(CKD)
  • 糖尿病
  • 末梢動脈疾患(PAD)
  • 高血圧
  • 喫煙
  • 年齢 男性50歳以上・女性60歳以上
  • HDLコレステロールが低い
  • 血縁者に冠動脈疾患に罹患者がいる
  • 糖尿病予備軍

HDLコレステロールの目標値

40mg/dl以上

トリグリセライド(中性脂肪)の目標値

150mg/dl未満

うえだ皮膚科内科 高杉院

当院では、内科、漢方内科、皮膚科と複数の科を併設しており、各科固有の疾患に対する治療だけでなく、疾患によっては 科を超えて協力することによって、診断と治療の向上に寄与し、より幅の広い治療がきることを目標にしています。内科では、一般内科疾患全般を診療し、漢方治療を採り入れることによって、皮膚疾患や婦人科疾患、小児疾患など幅広い疾患に至るまで対応しています。皮膚科では、一般皮膚科分野に加え、小手術も行っています。